マウサー/マウス タスクリスト(単一大会編)

はじめに

あいさつ

こんにちは、うえぽんです。
オープンソースマウス Zirconia で競技参加を目指しています。

この記事は何?

前回のあらすじ

前回記事「マウサー/マウス タスクリスト(1シーズン編)」の続きです。
前回は、全国大会のファイナリストにギリギリ滑り込むための条件の予想を立てました。
最終的に、2024年度のいつ頃までにマシンを作る際のデッドラインを(おぼろげながら)意識することができました。

今回の話

今回はもう少しマウスのソフトに近い情報を収集し、まとめます。
※つまりまだソフト設計の前段階・・・早くコードを書きたいです😇

  • お品書き

    ① 大会の流れを確認する。

    • 競技ルールに沿った形で迷路走行する条件を書き出す
      • いつ、どういった情報が入手できるか、どういう操作を行ってよいか?

    ② ①の各状態をベースに、状態を追加してみる

    • 大会ルールを状態遷移に落とし込む
      • いくつかの要素に分けて、それぞれの状態遷移を書きだす
      • (次の記事) マウスのプログラムの状態遷移を設計する

注意事項

競技の規定に関する事項については、 必ず公式文書を参照してください

大会の流れ

一つの大会の開始から終了まで流れを見てみます。

~大会 数週間前

迷路情報公開

迷路サイズ、ゴール領域座標、ゴール領域内の柱の有無が発表されます。 (例: 2022年)

大会 前日

試走会

ルールで厳密に規定されていませんが、例年(2018,2019,2022) 昼~夕方の間、試走が可能できるようです。

Optional: マウスパーティ

懇親会です。コロナ後は開催されていない模様です。
大会前日の限界開発を華麗に回避し、マウスパーティに出られるように頑張りたいですね
...頑張れるかなぁ???

大会 当日

車検:

マウスが規定を満たしているかチェックする作業です。
過去大会では車検通過後から競技直前まで、マウスは「マウス置き場」に隔離されたようです。

2018, 2019年 全日本ファイナルでは、競技時間30分前までに所定の場所にマウスを預ける必要があったようです。
2022年 全日本ファイナルでは、事前の写真登録必須化に伴い車検とマウス預け制度が無くなったようです。
2023年 全日本ファイナルはアナウンス前なので要チェックですね。

競技開始

  • 持ち時間

    各大会毎に異なりますが、全日本では例年、
    ファイナル: 10分経過 or 5回試行終了 / セミファイナル: 5分経過 or 5回試行終了
    が多いようです。
    ルール上は以下のようになっています。

    3-6 マイクロマウスの持ち時間は最大10分間として競技会ごとに定める。この間原則的に5回までの走行をすることができる。(原文Link)

  • 1走目
    競技開始時点でマウスは迷路の情報を持たないため、まずは迷路探索を行います。
    ゴール到達後も、最適な経路を見つけるため迷路探索を続行することができます。
  • 2走目以降
    何事も無ければ 1走目で記録した迷路情報を元に最短走行を行います。

    最速を狙う場合、
    簡易整備(タイヤ掃除など)→パラメータ調整→走行開始→スタート→ゴール→スタートへ帰還
    という流れの繰り返し が一般的のようです。

    ベストマウサー、自律賞を狙う場合などでは、マウサーの操作なしに連続走行を行うマウスもあるようです。

  • 走行に失敗した場合
    こちらの方が問題です。
    明らかな走行異常発生時(おそらく2秒以上の長時間停止など)以外で走行中止した場合、
    迷路に関する記録をすべて消去しなければなりません。

    3-5 操作者は、競技委員長の指示または走行中止の許可がない限り走行中のマイクロマウスに触れてはならない。競技委員長は、あきらかに走行に異常が認められた場合、走行中止の申し出を認める。
    また、それ以外の走行中止の申し出については、迷路に関する記憶をすべて消去することを条件に認める。 (原文Link)

ところで、迷路に関する記憶をすべて という文言が気になりました。

文字どおり、壁の有無等の競技中に走行中に収集した情報だけでなく、迷路サイズ、ゴール位置、さらにはデバッグ用に収集したログデータの類も一切合切すべて消去しなければならない、と考えるのは少々不合理そうです。

ルールを作った人の意図を類推するに、 走行中止した場合、マウスのゴールにたどり着く能力を、競技開始時点同等にリセットしたい という意図があるとみて、走行中止時のリセット対象は 競技中に収集した壁データ (事後解析用ログデータは除く) と解釈して設計することとします。(ツッコミ歓迎です)

状態遷移

さて、上記の内容を状態遷移の図表に書き出してみます。
書き出していく中で見えてきた、大会によって可変しうる要素は パラメータ としてメモしておきます。
では書き出した結果を見ていきます。ルールに出てきた要素は以下の3つに分割された状態遷移に分類できそうです。

1. 競技進行

競技進行は比較的単純です。事前に時間制限と、走行できる回数が規定されており、
走行の度に手持ちの試行回数を 1 消費し、N回目の試行を終了すると競技終了です。
また制限時間を超過した場合も競技終了です。

3-6 マイクロマウスの持ち時間は最大10分間として競技会ごとに定める。この間原則的に5回までの走行をすることができる。(原文Link

【パラメータ】

項目 単位 値域 補足
時間制限 Integer 0 < T ≦ 600 マイクロマウス競技規定 3-6 より
走行回数制限 Integer 0 < N マイクロマウス競技規定 3-6 より
ただし 原則5回まで の表記あり

2. マウス内の地図情報

マウス内の地図情報に関わる振る舞いもルールで規定されています。
他2つと比較して、マウサーによる人力操作の多さが目立ちます。

3-2 操作者は迷路が公開された後で迷路に関する情報をマイクロマウスに入力してはならない。
また競技中にスイッチ操作等で、迷路に関する情報を修正、あるいは部分的に消去することはできない。(原文Link)

とある通り、 迷路(=壁の配置)の公開前であれば、マウスに対して迷路情報の入力が可能です。
また、走行中止時に消去しなければならない情報ルール上事前にマウスに書き込める情報(≒パラメータ化すべき項目)は、大会数週間前に公開される以下の情報ということになります。

【パラメータ】

項目 単位 値域 補足
迷路基本情報
迷路サイズ (x, y) 区画 0<x, y≤32 マイクロマウス競技規定 2-2 より
ゴール領域座標 左上: (x1,y1)
右下: (x2,y2)
区画 0≤x, y≤32 マイクロマウス競技規定 2-3 より
(例) (X18, Y13)-(X19,Y15)
ゴール領域内の柱 Boolean - - -

3. 走行状態

ルール3-3に表記されているとおりです。

3-3 迷路の走行は、毎回始点より開始し、始点に戻った時点あるいは2秒以上停止、もしくはマイクロマウスの走行中止が認められた時点で終了する。(原文Link)

考察

あらためて3つの状態遷移を見てみる

ルールを読めば容易にわかることしか書かれてないですね。
ソフト開発で最も大きなウェイトを占める「迷路走行」を、 3.走行 の「走行中」 ただ一言で片付けてしまっている点からして、完成までは程遠い状態です。

ただ、パラメ―タ化すべき要素と、注意すべき要素をいくつか発見できました。

1. 競技進行について

運営側が試行回数や競技時間をカウントしているため、マウスのプログラム側ではあまり意識する必要はなさそうです。

2. 地図情報について

状態遷移の迷路基本情報の入力壁データ全消去 は人力で行わなければならない点が厄介そうです。

迷路基本情報の入力 の厄介さは、例えば家で直前まで制御パラメータ調整等々をする場合に顕在化しそうです。
調整用迷路の基本情報が本番と異なる場合、調整終了後に大会用の迷路基本情報を忘れずに書き込む必要があります。すごーくミスしそうですね。

壁データ全消去の厄介さは、ミスした際のリスクの大きさにあると思います。
大会本番、マウスが想定外の挙動をとったタイミングという焦りがちな状況下での操作になります。
うっかりデータ消去を忘れていると一発ルール違反になりますし、反対に不要なタイミングでうっかり壁データ全消去してしまうと探索をやり直すことになります。

いずれもなんらか対策が必要そうです。

3. 走行について

走行終了方法の意識は必要そうですが、基本的にルール通りです。

今回は ルール上の項目のみ考慮 したため当然ではありますが、「探索走行」や「最短走行」といった一般的な走行モードが一切書かれていません。

「走行中」の中身こそがメインなので、今後はこの中身の検討が中心になりそうです。

まとめ

とりあえず最低限ルールの大枠を理解することができました。
ただし、現状は状態遷移が3つ、しかも粒度バラバラの状態です。
下ごしらえはここまで。次回から本腰入れて設計していきます。

余談

本当はスーパーバイザ制御みたいなことをやりたかったんですが、あとから「対象システムがモデル化されてないと成立せんやんけ!」となりボツりました。
新しいことをやり始める際は、手を動かす前に文献を読もう。

マウサー/マウス タスクリスト(1シーズン編)

はじめに

あいさつ

はじめまして、うえぽんと言います。マイクロマウス0年生です。
締め切り駆動開発を敢行すべく、マイクロマウス Advent Calendar 2023に参加させていただきました。
昨日の記事はコミさんの「今年の振り返りと迷路シミュレータ紹介」でした。
シミュレータがあると探索アルゴリズム開発がグッと楽になりそうですね!ぜひとも作ってみたいです👀

さて自分はマイクロマウスのソフト開発を始めてみたところ、そもそも一体全体いつまでになにを実装したらいいのか、まるでわかっていないことが判明しました。

そこで頂上決戦といえる、全日本大会ファイナル出場に必要な事柄をまとめたタスクリストを作ってみようと思います。
現時点の考えをまとめた自分の備忘録程度なので、ツッコミ大歓迎です!!

結論

全日本ファイナリストになるには、最低でも4pt獲得(≒地方大会完走x3かつ1回以上入賞) が必要そう。

日程感としては

  • ~8月: 16x16迷路の探索成功
  • 9、10月: 地方大会で完走x3 かつ 最短走行成功し1回以上入賞
    • (一例)東北(10月初旬?)、北信越(9月末?)、九州(10月末?)
  • 10月末(シーズンにより多少前後)までに4pt以上確保

が最低ラインっぽいです。
・・・本当でしょうか?

注意事項

必ず 公式ルール を熟読してください

文書 概要
公式ルール 迷路やマウスのサイズが規定されています。
大会評価基準 全日本大会の賞が規定されています。
最短走行時間の短さ以外にも評価基準が複数あります。
ポイントランキングについて 名前通りの内容です。

競技の流れ

シーズンの流れ

全日本大会に出場するためのシーズン全体の流れは、だいたい以下のようになっているようです。
大雑把には7月のシーズン開始時点で出場できる状態なら万々歳、10月末時点でマウス動かないと地方大会x3出場は厳しい、といった具合のようです。

(通年開催)

  • いくつかの地区では月例会という形で、おおよそ月1回ペースの試走会が開かれています。

シーズン開始(7月あたり)~

  • 各大会に出場しポイントを稼ぐ

  • 出場資格を得る

    • シーズン中、1つ以上の地区大会で完走する

      全日本大会に出場できるのは、その年度の各地区大会の完走記録保持者とします。(原文)

地方大会終了(年末あたり)

  • ファイナリストの条件"シーズンポイントランキング上位"を満たす

    1つの大会に複数台エントリーした場合は、その大会で最もポイントが高いものを加算対象にします。ポイントの加算は、3地区大会までです。4地区大会以上で完走した場合は、ポイントの高い3地区大会のポイントを加算対象にします。(原文)

    競技への出場ロボットが運営可能な台数を越えた時は、地区大会等の結果にしたがってファイナリストを選考し、そのファイナリストにより競技(これをファイナルと呼びます)を行います。(原文)

全日本大会(年末~年明け2月あたり)

  • 全日本大会に出場する
  • シーズン終了

シーズン計画に影響がありそうな情報

ポイントは マウサー(競技者やチーム) に付加される

(知らなかった。。。)

ポイントは、マシンに付加されるのではなく製作者に付加されます。
1つの大会に複数台エントリーした場合は、その大会で最もポイントが高いものを加算対象にします。(原文)

ただし、大会の運営ルールで参加登録台数制限が課される場合があるようです。
ざっと見たところ全日本大会特有にも見えますが、2代目マウス投入時にはアナウンスにも気を配る必要がありそうです。

マイクロマウス競技における同一製作者による参加登録可能台数は1台のみとします。(原文)

大会スケジュール

おおよそ7月中頃がシーズンスタート、9、10月に大会が立て続けにあり、年末~年明けに全日本大会があるようです。
ここ数年はコロナの影響をもろに受け変則的になっています。

シーズンスケジュール(2018~2023)

シーズン 関西 中部
初心者
金沢草の根 北信越 東北 九州 中部 東日本 オンライン 全日本学生 全日本 リンク
2023 7/16 9/3 9/10 9/24 10/8 10/29 11/4 11/12 1/14 12/10 2/18 HP
2022 7/17 9/3 9/17
→延期12/25
→中止
10/10
(オンライン)
10/9 10/23 10/30 10/2 1/15 11/6
→延期11/27
2/19 HP
2021
※コロナの影響甚大
11/28 - - 9/26
(オンライン)
- 11/14 - - - 12/18 3/12 HP
2020
※コロナの影響甚大
- - - - - - - - - 9/20
(オンライン)
2/14
(オンライン)
HP
学生
2019 7/21 9/1 7/14 9/15 10/13
→荒天中止
10/26 10/27 9/8 - 10/20 12/1 地方
全国
2018 7/8
→延期9/16
9/2 7/15 9/23 10/7 10/21 10/28 9/1 - 9/30 12/2 地方
全国

ポイントと順位の目安

全日本大会ファイナリストの条件もついでに調べてみます。
みたところ、 3pt獲得(≒地方大会完走x3) でギリギリなので、4pt獲得(≒地方大会完走x3かつ1回以上入賞) がファイナリストの目安になりそうです。

ファイナリスト条件(2018~2023)

シーズン 全日本条件 リンク
2023 ? HP
2022 3pt以上 HP
2021 - HP
2020 - HP
2019 4pt以上 HP
エントリーリスト
2018 3pt以上
or
地方大会入賞
(除 特別賞)
HP

ポイントの稼ぎやすさに多少ばらつきがあるらしい

tennisyiさんの記事によると

・比較的穴場(嘘かも)
交通の便が比較的悪いので参加者は少な目。個人的大会難易度は、
中部>東日本>関西>金沢草の根>東北>北信越>九州
(最近マイクロマウス(旧ハーフマウス)のファイナル出場権争いが激しい...人数が多い大会では点数稼げない...)

まとめ

ひとまず、マウスの公式ルールから、気になる点を抜粋してみました。
以上の内容を踏まえて、全日本ファイナリストになるには、4pt獲得(≒地方大会完走x3かつ1回以上入賞) を目標として、

  • ~8月: 16x16迷路の探索成功
  • 9、10月: 地方大会で完走x3 かつ 最短走行成功し1回以上入賞
    • (一例)東北(10月初旬?)、北信越(9月末?)、九州(10月末?)
  • 10月末(シーズンにより多少前後)までに4pt以上確保

が最低ラインになりそうです。
界隈でよく知られた訓示 "マウス10則" の

  1. 探索の安定性>最短の安定性>最短の速度>探索の速度 の順で優先される

と照らし合わせ、まずは2つ目の要素までを目安にすべきでしょうが、3つ目の要素に手を付けられて初めてファイナリストが見えてくる、という感じがします。
まずは1ポイント拾ってセミファイナリストを目指すのが得策かもですね。

さて! 明日はいよいよマイクロマウス アドベントカレンダー 2023の最終日!
Noriaki Nakagawaさんの 「Zirconoriaでやらかした話」です。
自分もZirconiaを使わせてもらってるので気になります👀👀👀 一体何が・・・・・・要チェックです!

マイクロマウス2022参加に向けて(2)【エンコーダ調査編】

はじめに

はじめまして。Willie(ウイリー: @willie_mm)です。 現在、マイクロマウスに初挑戦中です!

前回の記事では、オープンソースハーフマウス「Zirconia」制作にあたり、現在入手が難しい部品の調査を行いました。

willie-mm.hatenablog.com

この中で、Zirconiaで採用されているエンコーダ「MA300」の代替品をすぐ見つけることができませんでした。

そこで、今回は全国大会上位陣のマウスで採用されているエンコーダを調査し、採用するエンコーダの選定をしてみようと思います!

情報源

マイクロマウスの大会では、大会終了後に大会結果とマシンスペックがまとめられたPDFが配布されているようです。
今回は直近3年分(2020年大会~2018年大会)の大会結果のPDFを参照しようとおもいます。
なお、2020年大会は世間の情勢からオンライン開催で、大会参加者の傾向が他の大会と若干異なるようです。

  • 2020年大会(※ウェブ掲載する形式)

MM2020 第41回全日本マイクロマウス大会 エントリーリスト

  • 2019年大会

http://www.ntf.or.jp/mouse/micromouse2019/result/mm2019recode_v104.pdf

  • 2018年大会

http://www.ntf.or.jp/mouse/micromouse2018/recode2018_181215.pdf

採用されているエンコーダ

採用されているエンコーダを名称順に表にまとめてみます。
なお、表記ゆれと思われるものは独断で合算しています。
また、エンコーダの表記がない場合は除外しています。

AMS社製

エンコーダ 採用数
(2020)
採用数
(2019)
採用数
(2018)
量子化ビット数
[bit]
出力方式 通信方式 サンプリングレート[Hz] 回転数[rpm] 生産中(○)/
非推奨(△)/
生産中止(X)
AS5040 0 0 1 10 Abs., Inc. SPI, ABI, UVW, PWM 10.42k 30,000
AS5048/AS5048A 1 2 0 14 Abs. SPI, TWI, PWM 11,250 ?
AS5050 2 1 1 10 Abs. SPI 3,000 ? X
AS5050A 0 1 1 10 Abs. SPI 3,000 ?
AS5055 1 0 0 12 Abs. SPI 3,000 ? X
AS5055A 0 3 0 12 Abs. SPI 3,000 ?
AS5047/AS5047P 2 2 2 14(Abs.)/
12(Inc.)
Abs., Inc. SPI, ABI, UVW, PWM 4,505 28,000
AS5145/AS5145B 0 0 2 12 Abs., Inc. SPI, AB, PWM 10.42k 30,000
AS5147P 1 1 2 14(Abs.)/
12(Inc.)
Abs., Inc. SPI, ABI, UVW, PWM 4,505 28,000

MPS社製

エンコーダ 採用数
(2020)
採用数
(2019)
採用数
(2018)
量子化ビット数
[bit]
出力方式 通信方式 サンプリングレート[Hz] 回転数[rpm] 生産中(○)/
非推奨(△)/
生産中止(X)
MA300 2 0 3 11(Abs.)/
10(Inc.)
Abs., Inc. SPI, ABZ, UVW 520k 100,000 X
MA700 0 4 1 11(Abs.), 10(Inc.) Abs., Inc. SPI, ABZ 500k 100,000
MA702 2 1 0 12(Abs.)/10(Inc.) Abs., Inc. SPI, ABZ, PWM 980k 60,000

その他

エンコーダ 採用数
(2020)
採用数
(2019)
採用数
(2018)
量子化ビット数
[bit]
出力方式 通信方式 サンプリングレート[Hz] 回転数[rpm] 生産中(○)/
非推奨(△)/
生産中止(X)
RM08
(内部センサ: AM4096)
1 1 0 12 Abs., Inc., Tacho SPI, ABI, UVW, Analog, TWI ? 60,000 ?
AK7452 1 1 1 14 Abs., Inc. SPI, ABZ, UVW ? 25,000 X
MES-6-125PST16C(光学式) 0 1 0 (2000PPR) Inc. ABZ 100k 6,000 ?
MES-6-360PC(光学式) 0 0 1 (360PPR) Inc. ABZ 100k 6,000 ?
MES-6-500PC(光学式) 0 0 1 (500PPR) Inc. ABZ 100k 6,000 ?
7S-200-2MC-50-00E(光学式) 0 1 2 (200PPR) Inc. ABZ 100k 6,000 ?
PA2-50(光学式) 0 1 0 (50PPR) Inc. AB 35k ? ?

※その他、フォトリフレクタを用いた自作エンコーダを採用した事例もある模様です。

現時点でわかりそうなこと&わからないこと

わかりそうなこと

  • AMS社製エンコーダについて
    • 採用例が多い
    • EOL済みの型番や、その後継機の採用が見られる→所謂「定番」の型番が存在する?
    • 単純なフィルタ以外にDAEC(Dynamic Angle Error Compensation)のような、より高度な補正機能を利用できるICが存在する(例: AS5047P)
      • 高速回転する場合に問題になる、システムの遅延に起因する測定誤差を補正してくれる便利機能、らしい
      • 有効かどうかは不明

  • MPS社製エンコーダについて
    • (データシートを読み違えていなければ)MPS社製のエンコーダは高速回転に対応しているので都合がよさそう
    • ただしMPS社製で実績があるセンサはEOLになっているものが多い

  • その他のエンコーダについて
    • 高額な光学式エンコーダの採用や自作光学式エンコーダの採用が見られる→サンプリングレートや回転数が魅力?磁気式に弱点がある?

わからないこと

  • 全体
    • 情報をMCUに流す際、SPIを使うほうがいいのか、UVW or ABI/ABZを使うほうがいいのか
      • 方式によって量子化数が異なったり、遅延が大きく異なるので知る必要がありそう
      • ZirconiaはAB(Zは電気的に繋がってない)で読んでいる模様
    • 磁気式エンコーダの問題点はあるのか、解決/緩和できるのか
      • できるから広く使われている?
      • 不十分だから光学式の自作を目指すモチベが生じている?
    • 必要な量子化ビット数はいくつか?
      • 11か12bitくらいあれば良さそう?

  • AMS社製エンコーダについて
    • 補正は有効か?
      • 急激な速度変化が生じると補正できなさそう
      • 角度が欲しいわけではないので補正はそこまで必要ではない?

  • MPS社製エンコーダについて
    • 表でまとめた範囲ではMPS社製のセンサが優れているのに、全体的にはAMS社製のセンサのほうが採用例が多いのはなぜか?
      (予想:MA300/700がEOLになった→味変のため他社製に乗り換え? / AMS社製のほうがフィルタリング等々の内部処理が優秀?)

結局エンコーダどうしよう・・・?

前述したとおり、まだ不明な点が複数ありますが、まずはZirconiaベースで開発を進めるという初期の方針から離れすぎないようにしたいと思います(n敗)

そこで、MPS社製かつABZ(またはAB)出力に対応したエンコーダのうち、なるべくMA300に近いもの、なおかつ在庫があって手に入るものから選んでみて、MA702かMA782を採用してみたいと考えています。

おわりに

今回は全国大会上位陣のマウスで採用されているエンコーダを調査してみました。
また、散々調べた挙げ句、とりあえずZirconiaで採用されているMA300に近いエンコーダでとりあえず進めてみようという方針にしてみようと思います。

今回の記事でおそらくほぼほぼすべての部品の選定が終わったので、次の記事は未定です。

おそらく回路設計をゴリゴリ進めつつ(ベースがあるので微修正で済みますが)、部品の最終確認をしていく流れになりそうです。

それでは!

マイクロマウス2022参加に向けて(1)【Zirconia ベースマウス(買い物編)】

はじめに

はじめまして。Willie(ウイリー: @willie_mm)です。
この度マイクロマウスに初挑戦してみたいと思います。

この記事では、オープンソースハーフマウス「Zirconia」をベースに、 今後製作するマウスの設計をまとめてみたいと思います。

Zirconiaとは

Zirconiaは Yuki Matsui(@spur_gear)さんによって2019年に公開されたオープンソースのハーフマウスです。

Yuki Matsuiさんのブログ記事 によると、Zirconiaの特徴は

  • 部品の入手性の向上を目指し、比較的新しい部品を採用している
  • 素直な応答を期待し、2輪型を採用している
  • 調整とソフトを重視することを要求している
  • (ハーフマウス経験者の支援が受けられる環境下の)ハーフマウス入門者を対象としている

ようです。

また、Zirconiaベースのマウスは既に大会出場実績(Zirconiaベースの「ZrF4」が第41回全日本マイクロマウス大会7位)もあり、まずお手本にするロボットとして最適だと考えました。

ある程度の試行錯誤は覚悟の上ではあるのですが、いかんせん時間が足りない・・・・・・。
なのでまずは諸先輩方の知見をお借りしたい!と考えたワケです。
ちゃんと動く機体が1つあると後の改良のベンチマークにもなりますし!

Zirconiaの部品の入手性について

昨今の半導体等々の不足の影響もあってか、本記事の執筆時点で 一部の部品の入手が困難 というということが判明しました。

部品 対処法
SRコネクタ 手元にある一回り大きいコネクタで代用
DRV8836 DRV8835に置き換えられないか検討
LTC4054L-4.2 LTC4054XES5-4.2に置き換えられないか検討
MA300 他選手が利用しているエンコーダの調査
STM32F413CHU6 STM32F411CEU6に置き換え予定
ICM-20648 MPU-6500に置き換え予定

マイコンとIMUは部品リストで複数候補が挙げられていたため、スムーズに置き換えできそうです。
STM32F413CHU6はSTM32F411CEU6と比較してタイマが多い等々の差がありそうなのですが、 STM32F411CEU6で出場したマウスが複数あったので、きっと大丈夫なんだろうと思うことにしました。

MA300 の代替品はパッと決まらなさそうなので真面目に調べて、また記事にまとめてみようと思います。

おわりに

今回は必要な部品の調査と代替品の選定が必要になりそうな箇所を確認してみました。
次はエンコーダの選定を進めてみようと思います。では!