マイクロマウス2022参加に向けて(2)【エンコーダ調査編】
はじめに
はじめまして。Willie(ウイリー: @willie_mm)です。 現在、マイクロマウスに初挑戦中です!
前回の記事では、オープンソースハーフマウス「Zirconia」制作にあたり、現在入手が難しい部品の調査を行いました。
この中で、Zirconiaで採用されているエンコーダ「MA300」の代替品をすぐ見つけることができませんでした。
そこで、今回は全国大会上位陣のマウスで採用されているエンコーダを調査し、採用するエンコーダの選定をしてみようと思います!
情報源
マイクロマウスの大会では、大会終了後に大会結果とマシンスペックがまとめられたPDFが配布されているようです。
今回は直近3年分(2020年大会~2018年大会)の大会結果のPDFを参照しようとおもいます。
なお、2020年大会は世間の情勢からオンライン開催で、大会参加者の傾向が他の大会と若干異なるようです。
- 2020年大会(※ウェブ掲載する形式)
MM2020 第41回全日本マイクロマウス大会 エントリーリスト
- 2019年大会
http://www.ntf.or.jp/mouse/micromouse2019/result/mm2019recode_v104.pdf
- 2018年大会
http://www.ntf.or.jp/mouse/micromouse2018/recode2018_181215.pdf
採用されているエンコーダ
採用されているエンコーダを名称順に表にまとめてみます。
なお、表記ゆれと思われるものは独断で合算しています。
また、エンコーダの表記がない場合は除外しています。
AMS社製
エンコーダ | 採用数 (2020) |
採用数 (2019) |
採用数 (2018) |
量子化ビット数 [bit] |
出力方式 | 通信方式 | サンプリングレート[Hz] | 回転数[rpm] | 生産中(○)/ 非推奨(△)/ 生産中止(X) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AS5040 | 0 | 0 | 1 | 10 | Abs., Inc. | SPI, ABI, UVW, PWM | 10.42k | 30,000 | ○ |
AS5048/AS5048A | 1 | 2 | 0 | 14 | Abs. | SPI, TWI, PWM | 11,250 | ? | ○ |
AS5050 | 2 | 1 | 1 | 10 | Abs. | SPI | 3,000 | ? | X |
AS5050A | 0 | 1 | 1 | 10 | Abs. | SPI | 3,000 | ? | ○ |
AS5055 | 1 | 0 | 0 | 12 | Abs. | SPI | 3,000 | ? | X |
AS5055A | 0 | 3 | 0 | 12 | Abs. | SPI | 3,000 | ? | ○ |
AS5047/AS5047P | 2 | 2 | 2 | 14(Abs.)/ 12(Inc.) |
Abs., Inc. | SPI, ABI, UVW, PWM | 4,505 | 28,000 | ○ |
AS5145/AS5145B | 0 | 0 | 2 | 12 | Abs., Inc. | SPI, AB, PWM | 10.42k | 30,000 | ○ |
AS5147P | 1 | 1 | 2 | 14(Abs.)/ 12(Inc.) |
Abs., Inc. | SPI, ABI, UVW, PWM | 4,505 | 28,000 | ○ |
MPS社製
エンコーダ | 採用数 (2020) |
採用数 (2019) |
採用数 (2018) |
量子化ビット数 [bit] |
出力方式 | 通信方式 | サンプリングレート[Hz] | 回転数[rpm] | 生産中(○)/ 非推奨(△)/ 生産中止(X) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
MA300 | 2 | 0 | 3 | 11(Abs.)/ 10(Inc.) |
Abs., Inc. | SPI, ABZ, UVW | 520k | 100,000 | X |
MA700 | 0 | 4 | 1 | 11(Abs.), 10(Inc.) | Abs., Inc. | SPI, ABZ | 500k | 100,000 | △ |
MA702 | 2 | 1 | 0 | 12(Abs.)/10(Inc.) | Abs., Inc. | SPI, ABZ, PWM | 980k | 60,000 | ○ |
その他
エンコーダ | 採用数 (2020) |
採用数 (2019) |
採用数 (2018) |
量子化ビット数 [bit] |
出力方式 | 通信方式 | サンプリングレート[Hz] | 回転数[rpm] | 生産中(○)/ 非推奨(△)/ 生産中止(X) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
RM08 (内部センサ: AM4096) |
1 | 1 | 0 | 12 | Abs., Inc., Tacho | SPI, ABI, UVW, Analog, TWI | ? | 60,000 | ? |
AK7452 | 1 | 1 | 1 | 14 | Abs., Inc. | SPI, ABZ, UVW | ? | 25,000 | X |
MES-6-125PST16C(光学式) | 0 | 1 | 0 | (2000PPR) | Inc. | ABZ | 100k | 6,000 | ? |
MES-6-360PC(光学式) | 0 | 0 | 1 | (360PPR) | Inc. | ABZ | 100k | 6,000 | ? |
MES-6-500PC(光学式) | 0 | 0 | 1 | (500PPR) | Inc. | ABZ | 100k | 6,000 | ? |
7S-200-2MC-50-00E(光学式) | 0 | 1 | 2 | (200PPR) | Inc. | ABZ | 100k | 6,000 | ? |
PA2-50(光学式) | 0 | 1 | 0 | (50PPR) | Inc. | AB | 35k | ? | ? |
※その他、フォトリフレクタを用いた自作エンコーダを採用した事例もある模様です。
現時点でわかりそうなこと&わからないこと
わかりそうなこと
- AMS社製エンコーダについて
- 採用例が多い
- EOL済みの型番や、その後継機の採用が見られる→所謂「定番」の型番が存在する?
- 単純なフィルタ以外にDAEC(Dynamic Angle Error Compensation)のような、より高度な補正機能を利用できるICが存在する(例: AS5047P)
- 高速回転する場合に問題になる、システムの遅延に起因する測定誤差を補正してくれる便利機能、らしい
- 有効かどうかは不明
- MPS社製エンコーダについて
- (データシートを読み違えていなければ)MPS社製のエンコーダは高速回転に対応しているので都合がよさそう
- ただしMPS社製で実績があるセンサはEOLになっているものが多い
- その他のエンコーダについて
- 高額な光学式エンコーダの採用や自作光学式エンコーダの採用が見られる→サンプリングレートや回転数が魅力?磁気式に弱点がある?
わからないこと
- 全体
- AMS社製エンコーダについて
- 補正は有効か?
- 急激な速度変化が生じると補正できなさそう
- 角度が欲しいわけではないので補正はそこまで必要ではない?
- 補正は有効か?
- MPS社製エンコーダについて
- 表でまとめた範囲ではMPS社製のセンサが優れているのに、全体的にはAMS社製のセンサのほうが採用例が多いのはなぜか?
(予想:MA300/700がEOLになった→味変のため他社製に乗り換え? / AMS社製のほうがフィルタリング等々の内部処理が優秀?)
- 表でまとめた範囲ではMPS社製のセンサが優れているのに、全体的にはAMS社製のセンサのほうが採用例が多いのはなぜか?
結局エンコーダどうしよう・・・?
前述したとおり、まだ不明な点が複数ありますが、まずはZirconiaベースで開発を進めるという初期の方針から離れすぎないようにしたいと思います(n敗)
そこで、MPS社製かつABZ(またはAB)出力に対応したエンコーダのうち、なるべくMA300に近いもの、なおかつ在庫があって手に入るものから選んでみて、MA702かMA782を採用してみたいと考えています。
おわりに
今回は全国大会上位陣のマウスで採用されているエンコーダを調査してみました。
また、散々調べた挙げ句、とりあえずZirconiaで採用されているMA300に近いエンコーダでとりあえず進めてみようという方針にしてみようと思います。
今回の記事でおそらくほぼほぼすべての部品の選定が終わったので、次の記事は未定です。
おそらく回路設計をゴリゴリ進めつつ(ベースがあるので微修正で済みますが)、部品の最終確認をしていく流れになりそうです。
それでは!